世界の金融の歴史辞典主に現代史(1945年以降)に絞った、各国の金融・経済の歴史年表サイト
 日本  アメリカ  イギリス  スイス  ヨーロッパ  中国  韓国  シンガポール  ロシア  南米   

南米諸国(アルゼンチン・ブラジル等)の金融の歴史

南米諸国は、20世紀以前にスペインorポルトガルの植民地になり、その後独立した国がほとんどです。第二次世界大戦には、大半の国が直接関係しなかったものの、クーデターによる軍中心の権力争いと、通貨不安(デノミやデフォルトの頻発)という点は、アルゼンチン・ブラジルだけでなく、多くの国で共通しています

年月 分類 事柄
1945年 世界 第二次世界大戦が終了。
大戦の南米諸国への影響は軽微だったが、各国で軍事政権が乱立する。
1964年3月 政治・外交 ブラジルで軍事クーデターが勃発。以後、1985年まで軍事政権が支配。
1973年3月 為替 スミソニアン協定の廃止により、世界で為替の変動相場制が開始。
1973年10月 世界 第一次オイルショックが勃発
南米諸国へも影響は波及し、ブラジルのフレックス燃料自動車の開発や、ベネズエラの国営石油会社の設立へと繋がる。
1976年3月 政治・外交 アルゼンチンでクーデターが勃発。軍事政権が樹立する。
1982年3月 政治・外交 フォークランド紛争が勃発。フォークランド諸島の領有権を巡り、イギリスとアルゼンチンが戦争。イギリスが勝利する。
1983年6月 金融 アルゼンチンで1/1000のデノミ
通貨単位がペソ・レイからペソ・アルヘンティーノへ。
1985年6月 金融 アルゼンチンで1/1000のデノミ
通貨単位がペソ・アルヘンティーノアウストラルに。
1986年 金融 ブラジルが1/1000のデノミ
通貨単位がクルゼイロをクルザードに。
1986年 その他 サッカーワールドカップ・メキシコ大会でアルゼンチンが優勝
英国戦でマラドーナが神の手&5人抜き。フォークランド紛争の借りを返す
1988年 金融 アルゼンチンでハイパーインフレが起きる
デノミの効果も薄れ、インフレ率が数千パーセントに上昇。
1989年 金融 ブラジルが1/1000のデノミ
通貨単位がクルザードから新クルザードに。
1990年 財政破綻 ブラジルがデフォルト(債務不履行
総額620億ドルは、国債破綻として史上最大(01年にアルゼンチンが更新)。約3000%というハイパーインフレも招く事態に。また同年3月には預金封鎖も行われている。
1992年1月 金融 アルゼンチン1万分の1のデノミ
通貨単位がアウストラルからペソに。米ドルとのペッグも始める。
1993年 金融 ブラジルが1/1000のデノミ
通貨単位がクルゼイロをクルゼイロ・レアルに。
1993年3月 金融 ウルグアイで1/1000分のデノミ
通貨単位がウルグアイ・ペソに。
1994年 金融 ブラジルが1/2750のデノミ
通貨単位がクルゼイロ・レアルをレアルに。以後、経済改革も功を奏し、ハイパーインフレは収束していく。
1994年 その他 サッカーワールドカップ・アメリカ大会でブラジルが優勝
1999年1月 政治・外交 ベネズエラでチャベス政権が樹立
反米主義と原油経済で、ベネズエラ国民から高い支持を集める。
1999年 金融 ブラジルで通貨危機が勃発
IMFや米国の緊急融資で、デフォルトは回避される。
2000年7月 金融 アメリカで初のブラジル株ETFが上場
2001年10月 金融 アメリカでラテンアメリカETFが上場
2001年11月 金融 ゴールドマンサックスがBRICsという概念を発表
ブラジルが有力な経済成長国の一角として認識され始める。
2001年12月 財政破綻 アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)
インフレ・デノミの連鎖からの脱却の為、ドルペッグしていた事が仇となる。政府は、預金封鎖など強引な手法で、債務圧縮を断行。デフォルト総額810億ドルは、1990年のブラジルを超え史上最大。
2002年 その他 サッカーワールドカップ・日韓大会でブラジルが優勝
2002年7月 金融 ウルグアイで預金封鎖が行われる
2003年4月 財政破綻 ウルグアイ国債がデフォルト(債務不履行)
2008年3月 金融 ブラジルで海外からの投資に対する金融取引税が設定
レアル高の抑制が狙い。リーマンショックで一旦消えるも、その後数度にわたり増税される。
2008年7月 金融 日本で初のブラジル株ETFが東証に上場
2008年9月 世界 リーマンショック勃発
直接関係の薄い南米諸国にも、金融機関を中心に悪影響が広がる。
2008年12月 財政破綻 エクアドル国債がデフォルト(債務不履行)
2009年5月 金融 MSCIが株式市場の分類で、アルゼンチンを格下げ
ブラジルらと同じ新興国から、その下のフロンティアマーケットに降格。
2013年3月 政治・外交 ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領が死去
ニコラス・マドゥロ新大統領が反米主義を継続するか否かが、中南米の地政学リスク的に注目される。
2014年6月 その他 ブラジルでサッカーワールドカップが開催予定

しかし、近年の明暗はくっきり分かれます。アルゼンチンは、戦後暫くは先進国と認識され、首都ブエノスアイレスは「南米のパリ」と言われる発展を遂げます。しかし、70年代以降は軍事政権による圧政により経済は疲弊し、数度のデノミをくり返し、88年頃にはインフレ率が4000%を超えるハイパーインフレに見舞われます。アルゼンチンは2002年のデフォルトが有名ですが、82年と89年にも同じくデフォルトを起こしています。近年も金融や経済は不安定で、2009年には世界の株価指数の標準であるMSCI(モルガンスタンレー系列)が、アルゼンチンを最も格下の「フロンティアマーケット」に降格させるに至りました。

一方、ブラジルも90年代初頭までは、デノミやデフォルトなどをくり返す劣等国でした。しかしその後は、民生による経済改革を進め、通貨も安定。2001年にはゴールドマンサックスが「BRICs」の一員として、経済発展の有望国家としてブラジルを挙げるまでに至ります。2014年にはサッカーワールドカップ、2016年にはリオデジャネイロ五輪と、世界的スポーツイベントの開催も決まり、インフラ整備も急ピッチで進んでいます。

但し、アルゼンチンだけが劣等生という訳ではなく、エクアドルやパラグアイ、ウルグアイやベネズエラなども、90年代以降に国債のデフォルトを起こしており、経済は不安定なままです。スペイン語圏が幅を効かす南米諸国で、唯一のポルトガル語圏であるブラジルが、急速に経済成長を遂げているという状況です。

※注意;上記表のデノミ・デフォルト等は、主要なものだけの記載で、エクアドルやベネズエラやペルーなど多くの国が、90年代以前も財政破綻をくり返しています。詳しくは「国家は破綻する―金融危機の800年 (日経BP社)」等をご参照下さい。

国別menu  日本 アメリカ イギリス スイス ヨーロッパ 中国 韓国 シンガポール ロシア 南米 
キーワード  リーマンショックの原因 プラザ合意の影響 ITバブルの原因と崩壊の理由
世界の金融の歴史辞典
Copyright (C) 2013 history.nobisiro.com All Rights Reserved.