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ITバブルの原因と崩壊の理由

ITバブルとは、1990年代後半から2000年頃に、アメリカや日本でIT関連企業の人気が高まり、株価が急騰した事の総称です。ここでは、ITバブルが起きた原因と、崩壊の理由について分析します。

ITバブルが起きた原因の一つは、1990年代後半が世界的に過剰流動性が高まっていたことです。1990年代は、日本のバブル崩壊や欧米の経済低迷などで、日・米・欧州共に金融緩和(政策金利が下げられる)の時代でした。そこへ、1997年頃からのアジア通貨危機や、1998年に世界最大のヘッジファンド=LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)が破綻したことで、新興国やヘッジファンドへの投資マネーが一気に引き上げられます。金融緩和でだぶついていた資金が、大きな投資先を二つ失った訳です。

一方、1990年代はIT関連企業の注目度が高まってきた時代でした。アメリカでは、自動車(GM)や家電(GE)などの企業が死に絶え、産業構造の転換が急務だった時代で、IT〜コンピュータやインターネットの関連企業がその有力候補となっていました。

それを決定付けたのが、マイクロソフトがWindows95を大ヒットさせ、世界的にパーソナルコンピュータが普及し始めた事です。そして、マイクロソフトの創始者=ビル・ゲイツは、自社株の高騰によって、世界一の大富豪となったことが、ITバブル加速のもう一つの原因でした。多くの企業が第二のマイクロソフトを目指してIT事業に参入し、多くの投資家がビルゲイツの成功に肖ろうと、IT企業に株式投資を始めます。

当時の株価バブルはすさまじく、マイクロソフトの株式時価総額は、1999年のピーク時に6000億ドル(約60兆円)を超えました(※注1)。

しかし、巨額の利益を上げていたマイクロソフトはまだマシで、赤字続きだったアマゾンの時価総額が300億ドルを超えたり、AOL社のPERが700倍(時価総額1600億ドル)を超えたり、誰もが何の企業かすら分からなかったシスコ社の時価総額が5000億ドルを超えて世界一になったり、等と明らかに株価がバブルの企業が大半でした。
 
Steve Jobs and Bill GatesSteve Jobs and Bill Gates / Joi

ITバブルの潮流は日本にも影響し、NTTドコモが時価総額日本一(42兆円)になりました。携帯電話事業はおろかヤフーBBを始める前のソフトバンクですら、時価総額21兆円でトヨタ自動車(16兆円)を越え、たった60億円の黒字見通し(※注2)に過ぎなかった光通信の時価総額が6兆円以上になるなど、IT関連株の驚異的な高騰が起きました。そして孫正義氏は、ソフトバンクの株価高騰で日本の長者番付トップになります。

・金融緩和で世界の投資マネーが過剰流動性相場にあった
・アジア通貨危機とLTCMの破綻で、マネーの投資先が限定された
・ビルゲイツや孫正義が大富豪にのし上がった事が、IT企業に肖りたい投資家心理を加速させた

ITバブルが起きた原因をまとめると、以上のようになります。

バブルとは理論価格以上の高騰。ゆえに崩壊に理由など無い

しかし、IT関連企業の株価の高騰は、余りに行きすぎたものであり、バブルだったのです。ITバブル崩壊の理由は、単に人々が熱狂から冷めたからです。

PERが100倍以上だとか、赤字なのに株価が高騰しているというのは、明らかに異常な状態です。冷静に考えれば、そのような企業に投資することは極めてハイリスクであり、株価が高いうちに売り抜けようと思うのが、人間心理というものです。バブルというのは、トランプのババ抜きをしているのと同じで、先に抜けた人が得をして、最後まで掴んでいた人が損をします。一種のチキンレースです。

ゆえに、一端「売り」が優勢の相場になると、全ての投資家が我先にと、売り抜けの行動に走ります。米ナスダック総合指数は、2000年3月に高値5132ポイントを付けましたが、2001年9月には1300ポイント台にまで下落、1年半で70%以上暴落しました。バブルの形成がゆっくりなのに対して、崩壊が短時間に一気に起きる理由は、投資家の心理を考えれば当然の成り行きだからです。

言い換えれば、バブルというのは「根拠無き熱狂」です。理由を説明できないほど高騰した相場がバブルなのですから、崩壊する事に理由などありません。

※注1;歴史上、株式時価総額が6000億ドルを超えたのはマイクロソフトのみ(2013年末現在)。
※注2;しかも160億円の赤字見通しに転換され、光通信の株価は20日連続ストップ安という記録を作った。

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